荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋 in 大阪 感想

『荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋』in 大阪 感想


大阪は天保山、大阪文化館で開催中の『荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋』へ行きました。ジョジョと言っても僕は第5部までしか読んでないので、いっぱしのジョジョラーとは言えない半端者なのですが、いやいや半端者こそジョジョラー、こりゃ行かにゃならんだろと。大阪での開催は2018年11月25日~2019年1月14日なので、グズグズしてると学生さんたちが冬休みに入ってしまう。たださえ混んでそうなので、慌てて行くことにしました。

行って思ったこと。想像以上のボリュームでした。大阪文化館には行ったことがなかったのですが、海遊館の横だしどうせ小ぢんまりした会場での小ぢんまりした展覧会だろうと高を括っていたら意外や意外。見どころ満載で、そんなにゆっくり観ていた覚えはないのですが全部観るのに2時間以上はかかりました。素直に行って良かったです。

とにかく原画がいっぱい置いてあって、荒木先生は原画展なのでライブ感を楽しんで欲しいと仰ってましたが、実にその通り。例えばジャンプ掲載時の原画には下描きが透けて見えてそのまま。僕は漫画の世界に疎いのでよく分かりませんが、薄い青の色鉛筆のようなもので、下描きをしていて(青だと印刷時に写らないからかな?)、そのラフな幾つかの線が躍動感を醸し出していて、で近づいて見ると結構修正液で修正してるんですね。これがかえってリアリティーを出していて、やっぱり躍動感、絵が生まれていく生々しさが表れていました。

展示の流れも良かったですね。導入部があって、ジャンプ掲載時の原画があって、カラー原画があって。ジョジョ漫画の論理的な解説もあり、最後にクライマックスというかドカンと縦2メートルぐらいの描き下ろしカラー原画が部屋を囲むようになんと12枚!!流石偉大な漫画家というか、起承転結がちゃんとあって飽きさせない趣向が凝らされているなと。荒木先生が今回はベスト・オブ・ベストを出したと語っていたようにホントにずっしりとしたボリュームの展覧会でした。

で今言ったように始めに導入部があって、そこで先ず我々は「ドドドド~、ジョジョ展に来たぜぇ~」てテンションが上がるわけですが、色んなパターンの原画を観て最終的には「荒木先生スゲェ!」ってなる。恐らく多少なりとも絵が好きな人であれば、ジョジョ自体を知らなくても圧倒的な画力にひれ伏してしまう。やっぱ荒木先生の絵の力は相当なものなんだと。色彩感覚は相当なものなんだと。そこは改めて思いましたね。

だからジョジョの世界というか、ここはもう荒木先生の世界と言うべきでしょうね。大衆漫画ですから面白くてナンボなんですが、そういうコマーシャルな部分よりもむしろ作家性がバーンッ!と来る。石の塊みたいな物量でゴゴゴ~ッとこれが荒木・ザ・ワールドッ!みたいに来る。荒木飛呂彦という作家の個性が全面に表れていて、でもこれ、実は作家として当たり前のことですよね。僕は詩が好きですから詩人で例えますが、茨木のり子さんにしても吉増剛三さんにしてもその言葉は圧倒的に茨木さんで圧倒的に吉増さんですから、そこは僕個人としても凄く刺激になりました。

あと、さっきも言ったように下描きなんかの展示もありますから、創作の一端が垣間見える部分もありまして、そこは非常に興味深かったです。有料ですが荒木先生の音声ガイドもあり、裏話も聞けたりするのでなかなか面白いです。ガイドの中身はネタバレになるから書きませんが(笑)。

とにかく初めから最後までジョジョ、ジョジョ、ジョジョ。ジョジョ展なんで当たり前ですが、僕としてはジョジョ展というより荒木飛呂彦という一人のアーティストの絵画展という印象を強く持ちました。単純ながら「オレも絵を描きてー!」と思わせるような圧倒的な波紋のエネルギーというか刺激を与えてくれる展覧会で、荒木先生がライブ感を楽しんで欲しいって言ってたのはそういうことだったのかもしれないですね。人に何かしらの意欲をかき立たせる、触発させるっていうのは優れたアートの一つ条件ではないかなと。そこは改めて感じました。

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