ポエトリー:
『カエデ』
夢の暮らしをしたいと願う
桜並木のカゲロウはカエデ
日々の暮らしを数えて
時折風に大きく
指一本触れただけで
形は崩れ遠退いていく
調べ
床の間に飾れ
萎れた花を流れ
行き倒れの彼方
熱く光れ
災いは振り返り
新たな声を呼び戻す
支えのない価値に
一人聳え立つカエデ
知らないことを知らないままに
知ったことを知ったままに
降り注く雨の最中
信号機の
明滅する時の中で
ひどいこと言うんだなお前
たくさん乱反射して
朝になるのかお前
2018年8月