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宇多田ヒカル、『君に夢中』について
NHK SONGSスペシャル 宇多田ヒカル 2018.6.3.放送 感想
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NHK SONGSスペシャル 宇多田ヒカル 2018.6.3.放送
『初恋』を聴いていたら冒頭の「うるさいほどに高鳴る胸が~」のところでいきなりグッと来て目頭が熱くなった。感動したとか切なくなったとか、ましてや初恋云々ではない。それにこの曲は一般的な初恋について歌われた曲ではないし(勿論そうも読み取れる)、宇多田さんにとっての最初の愛、両親に関わる愛についてを歌ったものだという話もあった訳で、ところが何故か冒頭の歌詞でいきなりグッと来て、それは今思い出してみれば、そこに人間の原初に立ち返るような言葉の響きがあって僕はそれに少し震えていたのかもしれない。
『初恋』のメロディは後韻を踏む言葉と共に繰り返しが多用されていて、そのせいかどうかは分からないけど、まるで昔からある童謡、『かごめかごめ』のような懐かしさがふわっと立ち昇る。それが最初に言った原初的な感覚とも繋がるのかもしれないけど、そのふるさとに触れたようなノスタルジーは切れば血の出るような生々しさを含んでいて、つまりは子供の頃の夕方の暗くなりつつある世界、異世界に踏み込んでいくおどろおどろしさでもあり、そこが宇多田ヒカルという人の凄みにも繋がっていく気がしました。
自分のことを歌っているのに自分のことではないような、気持ちを込めて歌っていてももう一人の自分が違う場所から見ていているような。それは自身の生い立ちにも関係しているのかもと述べていたけど、僕にはまるで魂の入ったマネキンのようにも見えてしまうのです。悲しみの純度は益々高くなって、そのマネキンは益々人間になっていく。そういう部分に起因するのかもしれないけど、宇多田さんは今が一番綺麗な気がします。
あと余計なことを言うと、、、。宇多田さんは生い立ちもあって社会の出来事に関心はあっても歌には出来ないと言っていたけど、宇多田さんが社会の事、世の中の事を歌ったらどんなだろうって。若干の怖いもの見たさもあるけど(笑)、彼女が世界をどういう風に歌うのか、それも気になるところです。
Fantôme/宇多田ヒカル 感想レビュー
僕たちも馴れ合っちゃいけない。