ポエトリー:
『残り湯』
残り湯で体を温めてくれる経験が
二人をそっと包みます
両方の手の形をした炎がぼうっと
二人の暮らしを照らしています
きっと食卓の中心には
温かいお茶があって
二人の会話は弾みます
夜半過ぎ
短くて長い一日の終わりがどちらにも行けず
ひとりぼっち
まだ湯船に浮かんでいます
2021年12月
ポエトリー:
『残り湯』
残り湯で体を温めてくれる経験が
二人をそっと包みます
両方の手の形をした炎がぼうっと
二人の暮らしを照らしています
きっと食卓の中心には
温かいお茶があって
二人の会話は弾みます
夜半過ぎ
短くて長い一日の終わりがどちらにも行けず
ひとりぼっち
まだ湯船に浮かんでいます
2021年12月
ポエトリー:
「流れり」
薄いピンクのあなたの頬にそっと手を当て
浅い眠りについた朝ならほら
まだここにあるさ
まごついた手
でシーツを鷲掴みす
みたいに形なす花弁は
次第に痩せ細り
指先に流れり
太陽からの眺めもまた
まごついたまま
己が手でひと掴みする隙間などなく
時はよしなに流れり
listening…
淀みなく
listening…
時間が来たよ
薄いピンクのあなたの頬を
コップ一杯の水に汲んで
静かな朝の
時計は流れり
2021年6月
ポエトリー:
「食事の準備」
彼女の耳たぶは茹でたてのニョッキ
味もそっけもない
彼は塩を一掴み
伝票を見て火加減を見て
この道二十年のベテランシェフの如く
段取りよく事が運んだ暁には
彼女のご機嫌もクリームソースのように滑らか
心を静める緑のバジルを加えて
今宵二人、トマトとチーズのように仲良し
冷めないうちにフライパンはそっちのけ
我が家のメインディッシュは
アクアミネラルと新鮮なラディッシュを添えて
ガーベラの花と灯りはうんと小さく
2017年2月
ポエトリー:
「ランチタイム」
ランチタイム
君の右手は栄養源を口元に運ぶ
身から出た錆
つい先日の事を悔いる
脚を組み替える
同僚が話しかける
聞こえないふりはしないけど実はまるで聞いちゃいない
今、心の中で決めた事がある
明日から昼はひとりで過ごす
今夜の夕食は豪華にする
それぐらいの事ではどうにもならないけど
何もしないよりかはマシ
がっかりしたままでは終わらない
私はいい人ではない
2017年3月