2019年 ヴィンテージ・トラブル ジャパン・ツアー 4月18日 梅田TRAD 感想

ライヴ・レビュー:

2019年 ヴィンテージ・トラブル ジャパン・ツアー 4月18日 梅田TRAD

4月18日(木)に大阪の梅田TRADで行われた、ヴィンテージ・トラブルのライブへ行って参りました。いや~、凄かった。史上最強のライブ・バンドと称されるのも納得。激しいのなんのって。思ったより年齢層は高かったんだけど、皆、ボーカリストのタイ・タイラーに煽られて踊りまくり。最高に楽しかったぁ。けど、クタクタ…。先ずの感想はその一言です(笑)。

梅田TRAD へは初めて行ったのですが、東梅田商店街を横にスッと入ったところにあって、目の前に来るまでライブ・ハウスとは気付かない。恐らくスマホがないと迷ってました。ありがとうグーグル(笑)。

18時30分の会場から整理番号順に入りましたが、さっきも言ったとおり年齢層は高く皆ちゃんとした大人だし、スタッフも馴れたものでスムーズに中へ入ることが出来ました。早めに入れたので前から5列目ぐらい。しかもちょうどど真ん中!図らずもすんごい場所を取れました。

開演は19時30分。定刻通りに始まりました。ヴィンテージ・トラブル登場!うわ~、皆シブい!しかもかつてない至近距離!!う~、これだけでアガルぜぇ~。タイ・テイラーさん、おすまし顔の表情作って待機。始まるは意表を突くスローソング、「Nobody Told Me」だ。

続く2曲目ではロック・チューン(聴いたことなかったけどネットで調べると「Knock Me Down」という曲でした)。いきなりタイ・テイラー、仰向けで観客席へダイブ!え?2曲目でもう?!すぐに僕の頭上にもやって来ました(笑)。重っ、堅っ、筋肉質っ。途中、タイ・テイラーさんは逆立ち状態になったりしながらぐるっと回ってステージへ無事帰還。序盤だから客も元気だし、しっちゃかめっちゃかでしたね(笑)。

MCもかなり多めでした。僕の英語力だと何となくしか分かりませんでしたが…。ジョークも結構言ってたみたいでウケてました。でもジョークは僕の英語力じゃ無理ッス。皆、すごいなぁ。

彼らの特徴としては豪快なロック・チューンとソウルフルなスロー・ソング。この二本立てが基本なんですが、昨年出たアルバム『ChapterⅡ-EPⅠ』があれ?どうしちゃったの?っていうぐらいポップな作品でディスコっぽいのもあったんですね。ライブではそこからの曲がいいアクセントになっていました。「踊ろう!」っていう掛け声とともにちょっと違う雰囲気が出て楽しかったです。

で、やっぱ歌上手いッス。いや、そりゃ当然上手いんですけど、雰囲気が凄くあるというか、やっぱソウルですよね。魂を直接震わせる感じ。歌い方が独特で、後ろにずらして歌う人は割りと多いんだけどタイ・テイラーは前へ食い気味に歌うんです。それが先走ってるっていうんじゃなくてスムーズで、こういう感じでカッコよく歌える人ってあんまり居ないんじゃないかと思います。

まぁ兎に角タイ・テイラーですよ。煽り方が半端じゃないから、こっちは疲れてんだけどまたぐいっとテンション上がっちゃうんです。盛り上げるのがホント上手!僕が今まで見た中では多分一番タフなフロント・マンですね。もう何度フロアに下りてきたことか(笑)。最後は僕の目の前至近距離1mも無いとこで歌ってくれちゃったりしたもんだからもうたまらんす。ここはイケイケ女子なら抱きついちゃうところでしょうな。

終わったのは9時過ぎ。アンコールは2、3分で出て来ましたから、ほぼ2時限歌いまくりの踊りまくりの叫びまくりですよ。しかも最後は必殺の「Blues Hands Me Down」ですから、いや~、何度も言いますがスゴイっす!アゲアゲの「Strike Your Light」とか「Run Like The River」ももうこれで終わりかっていうぐらい振り切ってましたからね、我々も(笑)。みんなもよく頑張りました。

しかしまぁ、一体感が凄まじかったですね。当然パフォーマンスをするのはステージのヴィンテージ・トラブルの面々なんですが、何か一緒にやってるような、勿論それもタイ・テイラーさんのひっきりなしのコミュニケーションがあったればこそなんですが、その強引な楽観性というか、元気ない人もこっちに来て一緒に歌おうよっていう、強引に引っ張り上げてくれるようなポジティビティがそれこそ狭いライヴ・ハウスですから伝播するんです。だからショーが終わってメンバーが舞台に並んで挨拶する時だって、何かオレ達もやったぜっていう、今日は皆で素晴らしいショーをやったんだっていう一体感がバンドにも我々にもあるんです。これはホントに貴重な体験でした。クタクタでしたけど(笑)。

タイ・テイラーさんはいつも心地よく迎えてくれる日本が大好きだって目一杯讃えてくれたけど、でも日本だけじゃないんだな。きっとどんな国に行っても分け隔てなくオープン・マインド。そうやってどこに行ってもこの日見せてくれたような一体感を、親しさを見せてくれるんだろう。

そうなんです。アーティストと観客って距離があるっていうか、やっぱり例え近くに来ても、ちょっとこっちがビビってしまうところがあるんたけど、彼らの場合は実際何度も目の前までやって来たけど、親しさを感じるというか素直にイエーイってなれるんですね。あまりにもフロアに下りてくるんで、こっちが慣れちゃったというのもあるかもしれないけど(笑)、変な緊張感はなく素直に楽しめる、そういう雰囲気がある人たちなんです。

兎に角もう圧倒的なパワーでした。こちらも負けじと応えましたから疲労困憊(笑)。けど、体はクタクタ心は元気、って感じです。うん、我ながら上手いこと言うた。体はクタクタ心は元気。これこそがヴィンテージ・トラブルですね。こりゃしばらくは彼らの曲が頭から離れないぞ。アリガトウゴザイマスッ!!

ChapterⅡ-EPⅠ/Vintage Trouble 感想レビュー

洋楽レビュー:

ChapterⅡ-EPⅠ(2018)Vintage Trouble
(チャプターII – EP I/ヴィンテージ・トラブル)

 

ヴィンテージ・トラブルが2枚組の新作を出しました。2枚組と言っても各5曲入りのEPです。2枚組と言っても2枚目は1枚目のアンプラグドです。なんでまたそんなリリース形態なの?と思いましたが、しばらく聴いてるとちゃんと2枚合わせて一つの作品という気がしてきましたね。

リリース形態も今までと違いますが、中身の方も今までと全然違う。何が違うって曲ですよ。曲の練度がメチャクチャ上がってるじゃないですか。もしかして今流行のソングライター・チームによる共作かと思いましたが、クレジットを見るとこれまで通りボーカルのタイ・テイラーを中心としたバンド内でのソングライティングでした。

そういやタイ・テイラーは今回のEP盤のインタビューで、「ライブの躍動感をパッケージしたかった」みたいなこと言ってますね。確かにこのバンドのスキルは相当なもんですから、ついついボーカルを含めたバンド・サウンドで押し切ってしまうところがあったのかもしれない。それじゃいかんだろう、ということで今回は曲作りにかなり注力したのかもしれませんな。

それにしても。ヴィンテージ・トラブルどうしちゃったの?っていうポップさ。思惑通り、曲の力で持っていく感じが凄くしますね。従来のどストレートなロックンロールはないですが、その分複雑な曲も増えて曲の練度はすっごく上がってる。リリックも手が込んでいて洗練されたライミングやアクセントに動きがあって気持ちいい。あれ、ヴィンテージ・トラブルってこんなことも出来るんや、ってちょっと驚きです。

で、このEPのツボは2枚目ですよ。なぁ~んだ、よくあるアコースティック・バージョンでお茶を濁したのかなんて思っているそこのあなた。確かに私も最初はそう思いましたよ。ところが曲重視の1枚目がここで活きてくるわけです。

先ずバンドの演奏が的確なんですね。しかもトレンドであるラテン音楽の要素を取り入れてくる。パーカッション主体でドライブし、ラストの曲はレゲエのリズムやね。この辺はもう抜群の安定感。しかもアレンジがシンプルですから曲の良さが更に際立つのです。なのでまた1枚目を聴きたくなる。そして1枚目を聴いているとまた2枚目を聴きたくなる。どーです、この幸福な2枚組スパイラル。曲重視の1枚目があっての2枚目のアコースティック・バージョン。なんだかこの2枚組の意図がちゃんと伝わってきたような気がしてきました。

彼らはその名のとおりヴィンテージなソウル、ロックンロール音楽のみをする方かと思っていましたが、跳ねたポップソングでも勝負できるんですね。どーもおみそれしやした。もうこうなりゃヴィンテージ・トラブルは無敵ですな。じゃ次はいつもどおりのロックンロールでぶっ放しますか。

 

Tracklist:
Disc 1
1. Do Me Right
2. Can’t Stop Rollin’
3. My Whole World Stopped Without You
4. Crystal Clarity
5. The Battle’s End

Disc 2
1. Do Me Right (Acoustic)
2. Can’t Stop Rollin’ (Acoustic)
3. My Whole World Stopped Without You (Acoustic)
4. Crystal Clarity (Acoustic)
5. The Battle’s End (Acoustic)

The Bomb Sheltes Sessions/Vintage Trouble 感想レビュー

洋楽レビュー:

『The Bomb Sheltes Sessions』(2012)Vintage Trouble
(ザ・ボム・シェルターズ・セッションズ/ヴィンテージ・トラブル)

 

このアルバムが店頭に並んだ当時、結構試聴した記憶がある。結局買わなかったのは、派手なのが1曲目だけだったから。ま、試聴レベルじゃそんなもん。で時を経て2014年、サマソニである。もう圧倒的なパフォーマンス。これだけの人たちが作ったアルバムなんだから、おかしなはずはない。ということで即購入。といきたかったが、当時そう思った人が結構いたみたいで、Amazonやなんかでは全て売り切れ。唯一タワレコに国内盤があったので、急ぎ購入した記憶がある。ホントはDVD付きの限定盤が欲しかったんだよな~。

ここで鳴らされるのはいたってオーソドックスなロックンロール。いや、というより、もっとベーシックなR&Bとかソウルとかを基調としたロックンロールというべきか。確かに#1『Blues Hand Me Down』のようなシャウトするロックンロールも恰好いいが、このアルバムの売りは#4『Gracefully』や#7『Nobody Told Me』といったスロー・ソングにもある。ゆったりとばっちりツボを突いてくるバンドの演奏と、ソウルフルなタイ・テイラーのボーカル。生き物のように命が宿っている感じがとてもいい。#7『Nobody Told Me』の詞がまたいいんだな。

この手の音楽の場合、どうしても聴き手を選ぶというか間口が狭くなってしまうきらいがあるけど、ライナーノーツを読むと彼らのフェイバリットはキャロル・キングの『つづれおり』やU2の『ヨシュアトリー』やダニー・ハサウェイの『ライブ』やジェフ・バックリーの『グレース』といった超有名盤ばかり。名うてのプレーヤーたちだけど、そう聞くと親近感が湧いてくるでしょ。マニアックな人たちかと思いきや、大衆性があるのはこうした嗜好があるからかも。

難しい顔してややこしい音楽聴いてんのもいいですが、たまにはこーゆー身も蓋もないロックンロールもいいんじゃないでしょうか。ちょっとお疲れのあなた、#1『Blues Hand Me Down』を聴いて熱くなりましょう!

Track List:
1. Blues Hand Me Down
2. Still And Always Will
3. Nancy Lee
4. Gracefully
5. You Better Believe It
6. Not Alright By Me
7. Nobody Told Me
8. Jezzebella
9. Total Strangers
10. Run Outta You
(ボーナストラック)
11. Love With Me
12. Nancy Lee(LIVE)
13. Come On By
14. Total Stranger(Round2)
15. World Is Gonne Have To Take A Turn Aroud
16. Nobody Told Me(LIVE)

2019年もヴィンテージ・トラブルが来日するそうだ

 

2019年もヴィンテージ・トラブルが来日するそうだ

 

来春にヴィンテージ・トラブルが来日するそうだ。ヴィンテージ・トラブルというのはその名のとおりヴィンテージなソウル・ロックを奏でるアメリカの4人組バンドで、泥臭いくせに洗練されていて、ヴィンテージなくせにモダンで、田舎の酒場で歌ってそうなくせに都会的という、何言ってるかよく分からないだろうけど、ある意味1周回ってオシャレ感満載のソウル・ロック・バンドだ。

ヴィンテージっていうぐらいだから、真夏であろうと基本は全員スーツ・スタイル。汗水流しながら、ドンッドド、ドンッドドってグイグイ押してくエンターテイメント精神溢れるライブ・バンドで、僕は2014年のサマソニで初めて彼らを観たんだけど、確か13時ごろのクソ暑っつくて、人もまだまばらな時間帯に登場した彼らはそんなことお構いなしにどんどんヒート・アップ。照明用の塔に登るわ、シャウトしまくるわ、踊りまくるわで僕もいっぺんに虜になった覚えがあります。

そんな連中なので、ライブはもう間違いない。集客もバッチリなようで毎年来日しているような気もしますが、来年も来るってんで、そういや2015年のアルバム『華麗なるトラブル(1 Hopeful RD.)』にDVD付いてたなと。久しぶりに観てみたらこれがやっぱりカッコいいのなんのって。一緒に観てた小学4年の息子もえらい気に入ったご様子で、見よう見まねでシャウト。その日は思い出してはまねをして、二人で笑い転げてました(笑)。

つーことで調べると、今月末に2枚組EP盤が出るんですね。なんでアルバムじゃなくて2枚組EPなのかよく分かりませんが、とりあえずそれは買うとして、ライブのチケットも買っちゃうだろうなと(笑)。まぁ、来るのは来年の4月みたいだし、チケット買うのはちょっと気持ちを落ち着かせてからにしよーかな。つーかチケットすぐ売れ切れるんだろうか?毎年来るぐらいやからな~。

1 Hopeful RD./Vintage Trouble 感想レビュー

洋楽レビュー:

『1 Hopeful RD.』(2015)Vintage Trouble
(華麗なるトラブル/ヴィンテージ・トラブル)

 

いや~、ジェダイやね。ボーカルのタイ・テイラーさん、フォース出まくり。なんか名前からしてそんな感じやん。ルーク・スカイウォーカー、オビワン・ケノービ、タイ・テイラー、ほら、違和感ないでしょ。マントとか似合いそーやし。すんませんっ、昨日テレビで『スター・ウォーズ フォースの覚醒』見たもんで。

米国人にとって、R&Bとかブルースなんていうのは演歌みたいなもんだというのを誰かが言ってた。いいとか悪いとかではなく単に琴線に触れてしまうんだと。ヴィンテージ・トラブルはロック・バンドだけど、どっちかって言うとそっち系なんじゃないだろうか。ということを踏まえれば、ジャズとかR&B専門のブルーノート・レコードからリリースされた初のロック・バンドというのも別に不思議じゃない。

はっきり言って何ら新しいとこはない。前作の1stと比べてもバンドとしての塊がドッと来る感じやグルーヴ感は更に引き締まった気はするけど、相変わらず景気のいい曲があって、渋いスロー・ソングがあってっていうスタイルは変わりようがない。ただそうは言っても、こういうのは聴き手の耳も肥えてるわけだから、生半可なレベルじゃ満足してもらえないわけでそれ相当の練度が求められてくる。そこをじゃあそれ以上のものをって見せてくれるから嬉しくなってしまうわけで、脳というより体に訴えてくるんだろうな。みんなよく知ってるんだろうけど、じゃあすぐに出来るかっていうとなかなかそうはいかない奥の深さ。そこがほら『スター・ウォーズ』、やっぱフォースなんすよ(強引やな)。

だってまあ凄いんすもん、タイ・テイラーさんのシャウト。#8『ストライク・ユア・ライト』なんかたまらんえ。スロー・ソングも抜群だし、こんだけ幅広く歌えるボーカリストはそうはいない。でもってのっけからライト・セーバー振り回してブワォンブワォン言っちゃってるし、あ、スライド・ギターね。ドラム、ベース、ギター、ボーカルっていうシンプルな編成でこの腹から来るグルーヴ。皆さん、ストーンズばっか崇めてないでこっちを聴きなさい!あかん、オレのダーク・サイド出てもうた…。

前作は3日で録音したそうで、今回も1週間かそこらでの録音だそうだ。もともとライブでやってきた曲ばかりだからそりゃそんなもんかもしれないけど、やっぱそこはこのバンドの地力だろう。ライブがあって、新しい曲が溜まってきたら録音する。そんな昔ながらのスタイルがいかにも様になる。目新しいところは何もないが、このどうということのないソウル・ロックを10年代に何の違和感もなく馴染ませちゃった点にこのバンドの偉大さがある。僕も当然大好きだ。

ルックスもヴィンテージ感たっぷりの手練れ4人衆(アルバム・ジャケット、めっちゃ渋いッス!)。音楽界にもジェダイはいるのです。さあ皆さん、フォースの音楽面へようこそ。「May the Force be with you(フォースと共にあれ)…」 ←これが言いたかってん…。

 

1. Run Like the River
2. From My Arms
3. Doin’ What You Were Doin’
4. Angel City, California
5. Shows What You Know
6. My Heart Won’t Fall Again
7. Another Man’s Words
8. Strike Your Light (featuring Kamilah Marshall)
9. Before the Tear Drops
10.If You Loved Me
11.Another Baby
12.Soul Serenity

(日本盤ボーナス・トラック)
13.Get It
14.Honey Dew

日本盤にはDVDが付属。2014年のサマーソニックです!
こん時ゃ凄かった~。僕も大阪で観ましたよ!