(OK コンピューター/レディオヘッド)
『ザ・ベンズ』 の時に僕はこれは死の直前のほんの数秒の物語と書いたが、『OK コンピューター』はそこから更に天空を漂っているイメージ。 歌詞にも great height なんて言葉が出てくる。 主人公は黄泉の国をさまよっているかのよう。
『ザ・ベンズ』と『キッド A』の間に位置するアルバムであり、アルバム・ タイトルからも想起されるイメージとしてはその中間期に当たるサ ウンド。しかしここではまだギター・メインでどちらかと言えば『 ザ・ベンズ』寄り。やはり『キッド A』は相当特異なアルバムのようだ。とはいえ『ザ・ベンズ』 が純粋なギター・ロックの極致なら、『OK コンピューター』はそこを更に突き破った新しいギター・ ロックの世界。もう美しいという言葉は妥当ではない。 成層圏のギター・ロックと言っていいだろう。
そのイントロダクションとなる『エアバック』と中盤で曲調が飛躍する『パラノイド・アンドロイド』で得られるカタルシスは格別だ。ここでグッと『OKコンピュータ』の世界に引き込まれてしまう。『レット・ダウン』や『イレクショニアリング』のような伝導率の早い曲もあるが、押しなべて言葉の方はかなり込み入っている。が、僕はそこまで読み込めない。まあ、それでいい。僕はトム・ヨークの言葉は話半分で聞くことにしている。『フィッター・ハッピアー』なんてホント馬鹿馬鹿しい詩だ。物知り顔で分析する類のものじゃないだろう。
そんなことより『ノー・サプライゼズ』のアルペジオを聴いていると此処はどこだか自分は誰だか分からなくなる。そんな風にして思考力が停止した僕はあらゆるものを無条件で受け入れてゆく。そこがユートピアなのかディストピアなのかは分からない。
☆1.エアバッグ
★2.パラノイド・アンドロイド
3.サブタレニアン・ホームシック・エイリアン
4.イグジット・ミュージック
5.レット・ダウン
6.カーマ・ポリス
7.フィッター・ハピアー
8.イレクショニアリング
9.クライミング・アップ・ザ・ウォールズ
☆10.ノー・サプライゼズ
11.ラッキー
12.ザ・トゥーリスト