ポエトリー:
「輪廻」
支えられる輪廻
ふた口めをスプーンにすくう
ぼくに出来ること
きみへの目覚め
少しおどかしてほしい
可愛らしいまつ毛におどる
台風のようなひとみ
渦の真ん中には一点
支えられる輪廻
向かわせてほしい
川は流れず吹きこぼれる
スプーンに三口めをすくう
音がして君のうちへ入る
2021年1月
ポエトリー:
「輪廻」
支えられる輪廻
ふた口めをスプーンにすくう
ぼくに出来ること
きみへの目覚め
少しおどかしてほしい
可愛らしいまつ毛におどる
台風のようなひとみ
渦の真ん中には一点
支えられる輪廻
向かわせてほしい
川は流れず吹きこぼれる
スプーンに三口めをすくう
音がして君のうちへ入る
2021年1月
ポエトリー:
『線』
会いたくなると 凍えるの 吹きだまり 水色の 当てもない交差点 見上げれば ほら みんなが知っている水色 空 それなのに 頑なに こらえる心と体が一致する 夕刻まで待てないと あなたも一緒でしょ 一瞬で 夕闇にうっとりする人 もがき苦しむほど 場違いなはらわた 煮えくり返り おまえのせいだ おまえのせいだ とせっつく 軽く口止めする 輩 柔な瞳につっかえて 今晩のおかずは スーパーに立ち寄る秘密 冗談でいいから コロッケひとつ おまけしてください 真面目に話しかけると スーパーの店員の笑顔を鳴らし それでも雲の形は 変わらない もしくは変われない 水溜まり それを写す鏡 水色の空を見下ろし 派手に歪んだ似姿が ぼんやりと海の彼方へ あなたの方へ 帰りたい 帰りたいのと呟く 私の色は かまわないで足踏み 見上げれば 当てもない交差点 苦手な骨格が現れる 私の線がそこにある
2021年2月
ポエトリー:
「シグナルは黄緑」
昨日には 春の嵐が吹き溜まり
黄緑の 花びら装束買いに行く
太陽を遮る手のひらに昇る稜線
気取っていた 似合わないシャツに着替え
日溜まりの光線 夏に浴び
気付いてた 指折る日毎に傷付いていた
外面をぶら下げ靡くお堀端
手のひら繁る黄緑シグナル
蓄えたものが今にも無くなる
秋にはなんだか後ろめたく
後ろの席でずっと、眺めたい
今すぐ始めたい
いい加減にしておくれ
この湯加減は止めにしておくれ
今再び、手のひらの稜線が 行けと言う
もう二度と お前たちの世話にはならないと
春の引き戸、怯える気持ち
私たちどうか無事に、
新しい地球の歩き方 始めます
2稿 2021年3月31日
ポエトリー:
「黄緑」
昨日には 春の嵐が来た
黄緑の 花束買いに行こう
気取ってた 似合わない 斜めに構え
気付いてた 真夜中に傷付いていた
外面ぶら下げて賑やかなお堀界隈
そっと握りしめた黄緑の花びらかわいい
勝ち気なんだ 後ろめたく
はじっこの席で 後ろ眺めたいんだよ
いい加減に いい加減にしておくれ
こんな湯加減 止めにしておくれ
手のひらの黄緑が 行けと言う
もう二度と お前たちの世話にはならないと
新しい地球の歩き方 始めます
初稿 2021年3月27日
ポエトリー:
「プールサイド」
溺れること
歪んだ理想
僕たちは水泳選手になりたかったわけではない
プールサイド
血染めのタオル
僕たちは死ぬまでに何リットルの血を流すのか
濡れる歩道に
息づかいに
よどむあなたの足取り
その足り得る武器で
波立つプールの
荒い呼吸音
大丈夫、
敵わぬはずはない!
報われぬはずはない!
2021年1月
さびしいな あなたはいつも話が短い
かなしいな あなたはいつも言葉が足りない
わたしの心はいつも ひとりでに話し出す
わたしの心は 隠れることも相成らぬまま
あなたはどれだけ盗んだのか
戻らないわたしの心の内を
あなたがキライ だーいキライ
悲しみはいつもひとりごと
短ーい夏の 嵐だ落ちたよカミナリ
うるさーい泣くなよ わたしの心はどこを向いて走る
思い出したくない 思い出したくなくもない
わたしの心は ひとつじゃ足りないメモリー不足
あなたはどれだけ盗んだのか
戻らないわたしの心の内を
あなたがキライ だーいキライ
悲しみはいつもひとりごと
わたしはどれだけ盗めたのか
戻らないあなたの心の内を
あなたがいない どーこにもいない
悲しみはいつもひとりごと
ポエトリー:
「機会」
くるひもくるひも
こんどこそこんどこそと
ことわりつづけたおとこ
おまえをむかえてやることはできない
おまえからくるしかないのだ
くるひもくるひも
こんどこそこんどこそと
こだわりつづけたおとこ
おまえにかえるすべはない
あたらしくはじめるしかないのだ
だからって
おそろしいことはいわないでおくれ
だからって
きかいをうしなわないでおくれ
それはおまえをくるしめるからだではないのだから
やがておまえのうちに
わすれられぬものがふる!!
それをまちわびて
わたしはいきている
2020年1月
ポエトリー:
「一年経ちました」
年あけて 僕たちはささやく
冷たい十字路に立って迷うそぶり
あるいは本当
思えば僕から断ったの始めての年
だったね
危うく見過ごしそうになったけど
それから一年経ちました
一年経った依る辺なさ
それでもユーモアは受け付けない
冷たい十字路に立って笑うそぶり
あるいは本当
2021年1月
ポエトリー:
「ないじゃない」
枕と並んで そこに眠るのは何
朝起きたら いなくなってるなんて
そんなの ずるいじゃない
数多くの謎を ひとつ捨て ふたつ捨て
軽くなった腰に手を当てて
ひとつ浮かんで ふたつ浮かんだものを
退屈しのぎに 枕と並んだ わけじゃない
それなのに 朝起きたら いなくなってるなんて
そんなの ずるいじゃない
あなたを 気まぐれに 選んだわけ
ないじゃない
2020年12月
ポエトリー:
『目覚め』
意外なほど ほっそりとした魂は
人々の隙間を縫って ツユクサの中に現れた
初めて見る生活の 一部になれた
それがまだ朝だってこと 誰も知らない
鳥たちのごきげんよう 僕だけの優越
生きるってこんなふうだったんだ
垣間見た
朝起きたら夢だった
それでも 新しい朝
悪い気は しなかった
2020年12月