ポエトリー:
「些細な夜明け」
多くのことばが微弱な電波を発し
思い思いに暇を弄ぶ
わけでもなかろうに
ぼくたちのあいだに広がる些細な夜明け
見た目にも鮮やかな
わけでもなかろうに
脆弱な電波に乗ってきみが来る
それ自体がフェイクニュース
意外とよく喋るきみの広がり
だったとしても
よそ行きの声が次第に遠ざかる
水面のようにささやかな方便
群がるひとびとの声だけがして
教えられてきたことが失念する
ご名答
実にいじわるなことだけど
泣きたいわけじゃない
失念することが輝き
チャンスをくれたきみに
ぼくの抽斗の序列を教えてあげる
めったにないことが
きみに起きますようにと
ねぎらうことができますようにと
2024年5月