ポエトリー:
「海のしずく」
ぼくに遺された
海のしずく
貝殻に
耳をすます
音に聞く
昔の人の生業が
長い四季を繰り返し
無理なことから流れていく
確かゆうべは砂浜で
変わり変わらぬ唄を思い浮かべ
静かな夜気を楽しんでいました
夢の中で
置いてある誘導灯が
最初からそこになかったような顔をして意地悪をする夜がある
初めからそこになかったような顔をして
あの子はいつもぼくをかき回す
遺った手ざわりがすっぽりとしまわれた貝殻に
いつまでも海の斑点が続く
2024年4月