ポエトリー:
「野末」
朝方に見た君の声が
夕方、野末の向こうに落ちていた
君がここを通ったわけでもなかろうに
そうやって
人知れず魂は
消費され
舞い上がり
すり抜ける
人が
言の葉と言ったり
言霊と言ったりするのは
そのせいか
かつて流した涙が
崖の隙間からチョロチョロと流れて出していました
何かの役には立ってると
周りの草木が濡れていた
野末の向こうに落ちていた君の声にもやがて
いや今すぐにでも
同じことが起きていると感ずることができるのは
きっとどこもかしこも
柔い記憶に包まれているから
所在など
どうでもいい
結局のところ
結局のところ
わたしたちはいつになく
わかちあうのだから
2023年3月