ポエトリー:
「かつて理解して」
熱い涙は体温だ
森の真ん中に迷い込んだ
かつて人類は東へ向かい
新しい道を歩き始めた
かつて かつて
かつて わかって
かつて かつて
かつて 理解して
空回りでも心は回る
やがてその軸を焼き尽くした
かつて人類は渚へ向かい
仲間とはぐれて暮らし始めた
かつて かつて
かつて わかって
かつて かつて
かつて 理解して
僕のお母さんは朝早くに出かけ
夜遅くに帰ってきた
僕は海原に小舟を浮かべ
釣糸を眺めていた
かつて かつて かつて わかって
かつて かつて かつて 理解して
かつて かつて かつて わかって
かつて かつて かつて 理解して
かつて人類は
空をつかむように
同じ体温の誰かと
手を繋ぎあった
2021年8月