ポエトリー:
『明るい空が閉まって』
3月のよく晴れた空は閉じていた
時間という扉を開けると
影になった部分がある
駅ですれ違う子どもが母に言う
これゴミちゃうで、
まだ入ってんで、
の’で’に励まされる
あの日、母の元から出てきた時
それは開いたのではなく閉じたのだ
漂うものからの固定
私は母のものになった
それを最初に知ったのは
小学生の頃
ガンダムの映画が上映していると
学校で友達から聞いた情報を頼りに商店街の端っこにある日劇まで歩いた日
途中の絵看板で
そうではなくいかがわしい映画と知ってもなお
母は私の手を引いて歩いていった
最後まで
だから歩きました
美しく見守られて
開くのではなく閉じていく
変わらず私は母のもの
最後に
空はよく晴れていて
姉には内緒
商店街の不二家でホットケーキを食べました。
それからはずっと
なめらかな、すぅーっと息を吐いて
明るい家へ帰っています
2020年2月