人間の良さ

ポエトリー:

『人間の良さ』

家の軒先には滴が垂れて
外の様子を確認しようとする首筋をヒヤリとさせる
彼女は極暖を着込む僕とは対照的で
ふんわりとしたコート一枚
横から吹いては舞い上がる粉雪にもお構いなしに
だから
そんな涼しげな格好で玄関から顔を出し
今は冬だってば、もうちょっと着込みなよという僕の声にもゲラゲラ笑って
ちょっとそこはゲラゲラ笑うとこじゃないでしょって
応える声も粉雪同様お構いなしで
たくましく生きる人間の良さを見せつける

午後3時の
雨上がりは
残された生
まだあるよと
言える頃合い

手のひらに残る実感
希薄になりつつ
失われた時を思い返すように時間が果たす意味合いを
中途で仕舞い込む若気の至り陶器のように
僕もたくましく生きる人間の良さを見せつけたい

 

2020年2月

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)