ポエトリー:
『ヒューミリティ』
頭の先から古い汗を流す
天の邪鬼が来て新しい砂を運ぶ
ねぇ 君はうなじが近いね
そんなに近いとのけぞってしまうよ
物語が来て右の頬をつねった
思い出話が夜の町をすべる
小指を立て方位磁針に見立てる
折からの風は駄目な方を指し招く
会いたい ねぇ君
二人だけで会いたいね
遠からず汗がいそいそと引っ込んで
通り雨だけが笑い声を立てる
魔が差したのは偏西風
街が吹き上がった
日が射したのは真夜中じゅう
軽くのぼせ上がった
冷たい 君の指示だけが冷たい
締まりのない笑顔は頼りない
物語が来て右の頬をつねった
思い出話が夜の町をすべる
遠からず汗がいそいそと引っ込んで
通り雨だけが笑い声を立てる
2018年8月