Free All Angels/Ash 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Free All Angels』(2001)Ash
(フリー・オール・エンジェルズ/アッシュ)

 

今年出たアルバム『Islands』(2018年)が凄く良かったのだが、実はアッシュを長い間聴いていなかった。と言ってもその前のアルバム自体が久しぶりの作品だったようで、なんだ僕のせいでも何でもないやと開き直っているところでございます。ところでアッシュといやぁこの『Free All Angels』(2001年)。せっかくなんで久しぶりに棚から出して聴いてみました。

こりゃもうベスト・オブ・アッシュやね。ヘビーなロックチューンにスローソング。これでもかと言うぐらいいい曲が沢山詰まってます。でまた改めて聴くと構成が素晴らしい。スローソングの後には間髪入れずスピードナンバーを入れてきたり(#10『Sometimes』の後の#11『Nicole』)、シンセや打ち込みを挟んでみたり(#4『Candy』)、ストリングスなんてのもあるわで(#7『Someday』や#12『There’s a Star』)ホントに飽きさせない展開。曲間がほとんど無く、すぐ次の曲に移るとこなんかも正にベスト盤の様相だ。

1曲目の『Walking Barefoot』からして最高やね。夏の終わりの切ない感じが凄く出てて、初っ端にこれ聴いて何とも思わない人はもうロックなんて聴くんじゃねぇって感じ(笑)。そうそう、このアルバムのイメージはやっぱ夏なんだけど、特にちょうど今の季節、夏の終わりがぴったりはまるアルバムです。ちょっぴり寂しい感じがよく出てる。この曲なんて「we’ve been walking barefoot all summer」っていう歌詞ですからもうそのまんまですね。

その後#2『Shining Light』、『Burn Baby Burn』とヒット曲が続くあたりもう完全にベスト・アルバム扱い。ていうか曲良すぎ(笑)。今年の『Islands』もホントにフレッシュなソングライティングで、ティム・ウィーラー、アラフォーのクセにスゲェなと思ったが、この時20才そこそこのティムは当然ながら勢いがあってキレキレでございます。そう言えばこのアルバムはティムさん以外のメンバーが作った曲も入っていて(#6『Submission』、#9『Shark』)、それもいいアクセントになっている。ていうかアクセントどころかすげぇカッコイイ!この頃のアッシュはホント無敵だ。

このアルバムはさっきも言ったとおり夏、というか夏の終わりを感じさせるアルバムでそれがギターロックに良く合っているのだけど(ギターロックとは真夏のイケイケではなく、ちょっぴり切ない夏の終わりのことなのだ)、それに拍車をかけるのがスローソング。#7『Someday』もいいけど、ここはやっぱり#10『Sometimes』。「さ~むたいむ、さぁぁぁ~たいむ」って繰り返しているだけやのにこの切なさはなんなんでしょうか。アルバムを締める最後の#13『World Domination』も完全に夏の終わり。誰もいない海岸を一人で歩きたくなります。

日本盤にはこの後ボーナストラックとして#14『Gabriel』が。長尺のヘビーなナンバーで、次作の『Meltdown』(2004年)へ繋がるような曲。この時点で次作は意識していなかったろうけど、この辺のナチュラルさ加減も当時のアッシュのマジックを感じます。そういやゆったりした#7『Someday』の後に来る#8『Pacific Palisades』も見事やね。全編サビのCMソングのような曲で、サッと始まりサッと終わる。俄然キャッチーなこんな曲をアルバムの中盤にサラッと持ってくるところも神がかってますな。

 

Track List:
1. Walking Barefoot
2. Shining Light
3. Burn Baby Burn
4. Candy
5. Cherry Bomb
6. Submission
7. Someday
8. Pacific Palisades
9. Shark
10. Sometimes
11. Nicole
12. There’s a Star
13. World Domination

日本盤ボーナストラック
14. Gabriel

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