ポエトリー:

「海」

 

魚の骨が刺さっていた
どこにというわけではないが
おそらく胸元に

魂が代わりたがっていた
少しぐらいいいかと思った

まずは形をどうするかで悩んだ
ここはやはり魚の形だろうか

海を見すえると胸が高鳴った
そんなものだろうか
あげく、山育ちだけど
泳いでみるのもいいと思った

海へ入ると胸の形が感じられた
息をめいっぱい吸って怒られることがないこと
魂は思っていたより軽い

しかし魂には期するものがあった
戻る気配を与えなかった

眺めると何か刺さっているものがあった
これを引っこ抜けばいいのだ

決意させたかったのだきっと
余分な力を抜いて
フレッシュな気持ちになって
決意させたかった

そう知ると涙が溢れてきた
涙は海だった

そうか
そうだったのか

わたしはゆっくりと歩いていった
ひたひたと音がして
足跡が残った

 

2025年6月

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