ポエトリー:
「冬のはじまり」
少しずつ大事にあたためてきたのに
いつのまにか繭になって
ほどけなくなりました
いつか
あなたを暖める編み物ができればよいのだけど
わたしたちの夜空には
満天の星と寒風
翌朝の舗道は濡れていて
2023年11月
ポエトリー:
「冬のはじまり」
少しずつ大事にあたためてきたのに
いつのまにか繭になって
ほどけなくなりました
いつか
あなたを暖める編み物ができればよいのだけど
わたしたちの夜空には
満天の星と寒風
翌朝の舗道は濡れていて
2023年11月
ポエトリー:
「オンしたりオフしたり」
無限に起きることがない代わりに
スイッチをオンしたりオフできる乗り物があったら
ぼくは一生をかけてきみにたどり着けるだろう
磨いたらきらっと格段に光る乗り物
やればできる子
そんな魔法のスイッチを
自在にオンしたりオフしたりする回路を手に入れて
目指すは人工の池、花と緑の大地の
ささくれ立った根性その他、
良からぬものをジェット噴射し
ぐんぐん進むことにして
もうじきコントラストが
赤やら黒やらのコントラストがきみに向かうのを知る
知っているから
とりいそぎ大事な荷物をひとまとめにして
昨と日のあいだはふれないように
明と日のあいだはさわれないように
そりゃあめいっぱい気をつけて
ぼくは一生をかけて大事なきみに会いにいく
無限に起きることがない代わりに
することがめいっぱいある
今は今と日のゆらぎの中にいて
スイッチはオンしたりオフしたり
2023年10月
ポエトリー:
「なんて特別なことだ」
なんて特別なことだ
今夜きみに羽が生えだしてきて
今にも飛べそうだ
これだから人生はやめられない
まだ見ぬ風景があるのだと
しかしそれさえ人から見れば控えめなこと
難しがることなんてなく
なんならもう空中
たとえば
人から見れば星くず
もしくは砂粒
それでもかまわない
朝
コップ一杯の水を飲んで身支度
なにかいつもと違う気がして
今夜にも羽が生えだしてきそうだ
2023年10月