ポエトリー:
「法事」
堅苦しいとこじゃないし普段着のままでいいから
もよりの駅からの手書きの地図をわたされ
親戚の法事に行きました
父の代わりに
電車をふたつ乗り継いだ先
真下に川が流れるマンションの
玄関を開け放した一室
よく来てくれたと大仰にむかえられ
案内されるままに座りました
僕以外は喪服でした
お経が終わり
おじゅっさんが帰った後の
スーパーで買ってきたという海鮮巻きのパック
これはとても美味しいからと
特にすすめられた若い僕は
言われるがままパクパクと食べた
変な時間に腹をふくらませた僕は
世帯主の満足げな表情に見送られ
真下に川が流れるマンションを後にした
なにをしに来たのかよくわからないまま
父の代わりに手を合わせてきた僕は
もうすぐ二十歳
それにしても大人の世界は
なんだかよくわからないことだ
2023年7月