ポエトリー:
「一筆書きの太陽」
知らない人から埋もれていく
あれは
一筆書で書いた太陽
カラスは小躍り
自信なさげな僕はぐったりして
見知らぬ扉
ただぼんやりして開け放つ
短い夏
時間が惜しいから
タンスの奥から貯金を引き出した
溜まりに溜まった鬱を
振り込める先
一筆書の太陽
幼い時から騒いだりして
散らかしっぱなし
半透明に覆われた温もり
大事にしたいこだわり
更には言い逃れようと
アスファルトに立つ静かな熱気
夢中になって静かに荷ほどき
平らになった地面が余程気持ちいいのか
ひたすら横になっていたっけ
しばらくするとウサギの耳
ピンと立つように
ある日のこと思い出し
蛇腹になった未来を
出来るだけ目一杯
伸ばしてみた
それが唯一の自信
狭い報告に
一喜一憂するより
先頭切って走る短い夏
それが暴れ回る前に
そっと肩を叩き
そら、あれが太陽ですよと
よせばいいのにその気になって
軽く一筆書きする真似をする
濡れ落ちる太陽
踏みしめる唯一の自信
それがあればよかった
2020年8月