ポエトリー:
「私たちの音感は霧に包まれて」
私たちの音感は霧に包まれて
何気ない日常が今日も切り取れない
純粋な闇に飲まれて
今日もおはようが見えない
おはよう、
言ってみた
感覚を軽く削っても
少しも空は染まらない
いっそ時間を早送りすればと
逃げる心持ち
そこに見知らぬ人が立っていて
こんにちはと言ったら助けてくれるというリアル
私のこんにちははリアルかな
イヤホンは
夜に絡めてもゼロの付近を行ったり来たり
回線はより混乱し続け
今度はおやすみが言えない
10年ひと昔と言ってしまう心持ちが鼻持ちならない
体は備えている
君に会う準備を
それでも君がやめてと言ったらすぐにやめれる男でいたい
心と体が真っ直ぐに向かう先の音感は霧に包まれて
おそらく明日もおはようが言えない
2020年6月