ポエトリー:
「昨日を乾かす」
君に手紙を出した
昨日にお世辞を言う
僕は優しいから
喉が痒い
君の汗
真下に落ちてった
当てずっぽうな光を浴びて
見事に育つ針葉樹
12時台
ガラガラの電車に写る人影
着替えは持たぬ
行き先は知れず
砂粒が
眩しくなるからと
ボールペンは太陽と共に走り
よからぬことを語りだす
観音様にお辞儀をし
邪悪なものが通り過ぎていく
家に帰って米3合を
大事に洗う
神聖な行いは
夜への入口
明日が近づき
それでも昨日が追い付かない
姿形は同じでも
似ても似つかぬ声音を
甘ったるく適度に潤して
それでも今日はまだ今日になっていない
ベランダの奥で
針葉樹はすくすく伸びる
今日もまた昨日を乾かす
汚れは目立たぬようにエプロンをして
夜を明かす
2018年10月