デザートにパイナップルを

ポエトリー:

『デザートにパイナップルを』

 

努めて明るい風を装えと老いた脳みそが言う
邪悪な手紙の二行目には殺すと書いてあった
背中を丸めて歩く風景には怠惰があった
神様はいなかった
書きかけの文章を読み上げた
多くを望み過ぎていた
他の人がよく見えた
写真を撮られるのを嫌な人がいることを知らなかった
ピーターパンが何故大人になりたくないのか分からなかった
君のためのスペースを空けておけばよかった
あの時、こんにちはと挨拶をしておけばよかった
パイナップルは銃で撃たれていた
果肉が散らばっていた
風情があった
背中にまで穴が届いて
可哀想な絶望が
全てを取っ払って枠組みだけにした
若いことは取り柄じゃない
努めて明るい風を装えと
古い脳みそが言う
自堕落に土の道を踏み続けた
草を踏みつけて
大事な花を踏みつけて
心を踏みつけて
大きな木の根元にいてだんまりしながら
マッチを三本擦った
影よ
最後までついてこれないのか君
愛しい君
もう少し時間が
パイ生地に包んだ食卓が
もう少し時間が
デザートにパイナップルを
デザートにパイナップルを
デザートにパイナップルを置いて欲しかった

 

2018年11月

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)