ポエトリー:
『クリーニング店』
広い通りに面したクリーニング店では
服を預けるとちょうどよい肩幅のハンガーが付いて返ってくる
彼女の肩幅もちょうどいいという噂があるがそれは確かめようがない
私ももちろんそこへ行く
今日の私はクリーニング品を預けるだけでなくコインランドリーで洗濯をする
コインランドリーで洗濯をしている間は退屈なので選りすぐりの本を持っていく
普段はあまり読まないようなもの
少し頼りがないものがいい
ここのハンガーがちょうどいいように
ここの洗濯機の音もちょうどいい
彼女も今日あたりここへ来るかもしれない
けれども彼女の肩幅はアイロンをかけていない
彼女の靴下は裏返っていない
彼女の魂は撹拌されていない
ここの洗濯機の音はちょうどいい
私の退屈な時間も残り僅かなので
詩を2編ほど読んで今日はもう終わりにする
2016年6月