ポエトリー:
「そういうこともあらぁな」
日差しが照らすから
煤までもが光って見えた
思わず触ってしまったから
指の腹が煤だらけになった
煤がほくそ笑んでいた
夕方、散歩していたら
昔からある溜まり場のようなところで
古い友人に会った
懐かしくて二人とも声を上げた
「おおぉ」
しばらくして
なんでこんな時間に、という話になって
友人は職を無くしたらしい
「そりゃ大変やなぁ」
そこにはいない誰かのことのように僕は言った
友人は煙草を取り出し火をつけた
少し嫌悪した
そしてそのことに嫌悪した自分に嫌悪した
日差しは変わらず強く照っていた
服につかないように上に向けていた指の煤がまた光った
「ほんま、大変やなぁ」
2026年6月