Open Wide / Inhaler 感想レビュー

洋楽レビュー:
 
『Open Wide』(2025年)Inhaler
(オープン・ワイド/インヘイラー)
 
 
2023年の2ndから2年ぶりの3rd。劇的な変化はないものの、1stから2nd、2ndから3rdと着実に手堅いステップアップ。3枚目といえどコンスタントにリリースしているし、なんかもうベテランバンドのような安定感。派手な若手ロックバンドがいろいろと出ているけど、こういうバンドもいるというのが楽しい。
 
それは音楽性にも表れていて、世の中でどういう音楽が流行ろうがそういうところとは一切関係なく自分たちのロック音楽を実直に追及している。裏を返せばそれは自信の表れだろうし、こういう事を言うと下世話になるが、ボノの息子という事でシャカリキにならなくて済む育ちの良さも影響しているのかもしれない。
 
ということで冒険はしないが、曲調は多種多様。この辺りはソングライティングもそうだけど、バンドとしての表現力が並みじゃないということ。突出したキラー・チューンが前作ほどはないかなというのはあるけど、全体としての底上げは断然こっち。彼らなりのチャレンジもうかがえるし、アルバム単位で聴くのはこっちの方が楽しい。聴く回数もこっちだな。所謂じわじわくるアルバム。アルバムとしての平均点ではまたひとつグッと上がったように思う
 
全英アルバム・チャートでは2位。テイラー・スウィフトの企画ものに1位を奪われたみたいだけど、そんなこと関係なくこれだけの曲と雰囲気があればもっと売れてもよさそう。あとはイケメンの割に地味という、華やかさがイマイチというところだろうか。おやじ譲りのいい声してるんだけどなぁ。

Cuts & Bruises / Inhaler 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Cuts & Bruises』(2023年)Inhaler
(カッツ&ブルーゼス/インヘイラー)

 

1stアルバムが全英1位になって、この2ndもとてもよい評判。何の変哲もなくグッド・メロディで聴かせる王道ギター・ロックがこれだけ売れてこれだけ注目されるのもホント久しぶりな気がする。フロントマンはU2のボノの息子という派手な出自ですが、音楽の方は実直そのもの。このまますくすく伸びてほしい。

耳目を集めるような強烈な個性はないですが、よいメロディとよいボーカルとよい演奏。これに勝るものはなし。それでいて押さえるところはきちっと押さえる。#1『Just to Keep You Satisfied』の間奏で聴けるギターの鳴りとか、#4『These Are the Days』のラスト近くで畳みかけるところなんて王道そのもの。

ボノの息子ではあるが、雰囲気はU2というよりブルース・スプリングスティーン寄り。#7『Dublin in Ecstasy』なんて若々しくてフレッシュなウォー・オン・ドラッグスみたいな感じ(笑)。というところでキーボードだとは思うが、ピアノやオルガン、シンセのフレーズを効果的に使う柔軟性もあり、今後まだまだ良くなっていく予感大である。

一方でシンプルな#8『When I Have Her on My Mind』も最高にカッコよく、いわゆる誰にもできそうで誰にもできないリフで最後まで押し切れてしまえるのはセンス以外の何ものでもない。ソングライティングは誰かメインの人がいるのだろうが、クレジット的には全員となっていて、この辺りの実直さも好感度は大きい。プロデュースは外部ではなく、バンドのドラマーのようだし、これからもバンド全体でいろいろ学んで着実に成長していきそう。

レディオヘッドやアークティックモンキーズみたいな独自路線へ向かうわけでもなさそうだし、The1975のように派手なところへ振れるわけでもない。アイルランド出身ということですが、同じ英国という括りで見れば、英国ならではの少しの湿り気とグッド・メロディが持ち味の、ウェールズ出身の国民的バンド、こちらも実直なステレオフォニックスに近いのかなと思います。フォニックスのように息の長い活躍を期待したい。