Goldrushed/The Royal Concept 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Goldrushed』(2014)The Royal Concept
(ゴールドラッシュ/ザ・ロイヤル・コンセプト)

 

タワーレコードの試聴機で「いかにも欧州なひねくれポップ」、でもって「フェニックス+ストロークス」なんて書かれていたもんだから、早速聴いてみたらひっくり返りそうになった。これはもうフェニックスそのものじゃないかと。その物凄くキャッチーなEP盤の2年後に満を持してリリースされたのがこのデビューアルバムだ。

この初のフル・アルバムも期待に違わぬ、というかそれ以上の素晴らしい作品。無駄な説明は一切不要。これは聴いてもらうしかない。若さに任せたエネルギーに満ち溢れている。

驚くことにEP盤で見せた強烈なポップ・ナンバーがまだまだ出てくるし、スロー・ソングだって素晴らしい。演奏力も確かでアレンジもアイデアに溢れている。しかしこれは極めて特殊なデビュー・アルバムと認識すべきもの。つい次回作もと期待してしまうが、それは酷ってもんだ。このテンションは2枚、3枚と続けられるものではない。

このアルバムを一言で言うと、#9『Shut The World』での「we’re gonna live and die young 」というフレーズに尽きる。その破壊力を存分に味わえ。

落ち着いたかなと思ったら、再度スピードが上がる#7『Busy Busy』、#8『Girls Girls Girls』のメドレーがまたいい。

~I’d rather be a ticking bomb than a fading light ~by『Shut The World』

 

Tracklist:
1. World On Fire
2. On Our Way
3. D-D-Dance
4. Radio
5. Cabin Down Below
6. In The End
7. Busy Busy
8. Girls Girls Girls
9. Shut The World
10. Tonight
11. Goldrushed

国内盤ボーナス・トラック
12. Damn
13. Naked and Dumb
14. Gimme Twice
15. Knocked Up
16 Someday

#14『Gimme Twice』の入った国内盤を聴くべし!

The Man Without Qualities/The Royal Concept 感想レビュー

洋楽レビュー:

『The Man Without Qualities』(2019)The Royal Concept
(ザ・マン・ウィザウト・クウォリティーズ/ザ・ロイヤル・コンセプト)

 

5年ぶりだそうで。あの鮮烈なデビュー作からもうそんなに経ったのかと。当時はラジオでかかりまくるわ、USJのCMソングとしてテレビでかかりまくるわでエライ勢いでしたが、その後は音沙汰なし。途中、EP盤が出ましたがそれもパッとせず、やっぱあれは初期衝動、もうエンジン尽きちゃったのかなと。まぁでもそれも良し、それぐらいあのアルバムは鮮烈でしたから、中にはそういうバンドもいるのですと、もうそういうもんとして認識していたのですが、出ましたよ遂に2ndアルバムが。アルバムっつっても8曲入りでフィジカル盤は無しというなんとも微妙な感じですがそれでもいーんです。The Royal Concept の新譜が出たってことで取りあえず喜んでおきましょう(笑)。

肝心の中身の方ですがいいですよこれは。あぁ、1stと比べて云々かんぬんと言う人がいるかもしれませんが、野暮な話はやめましょう(笑)。あれはあれ、青春の為せるわざですから、そういう幻影に惑わされなければこのアルバムもかなりいい!

ゆったりとした「Wake Up」で始まるのもいいですね。新しいThe Royal Concept で行くんだという決意表明のようなおおらかなサウンド。でそれを受けて始まる表題曲「The Man Without Qualities」が効いてます。曲の後半で別の展開を見せる表情もよし。なんじゃこれ、というぐらいもっともっと思いっ切りやってもらってもいいぐらいです。

そして表題曲で新たな側面を見せた後の「Wild Thing」。皆が期待する踊れるThe Royal Concept です。こーいうのやるとやっぱハマりますな。サビの後に来る「わ~ぃ、しんぐ」のコーラスがしびれます。最後のコーラスではゲストでしょうか、R&Bなボーカル・ソロも入って、ピアノも畳み掛けてくる、ギター・ソロも絡んでくる、ここでグッと気持ちがアガルこと請け合いです。

続く「Need To Know」はメロウなラブ・ソングです。大人ですな。こういう雰囲気は1stでは出せなかったであろうと。次の「Why Why Not」もそうですね。ちゃんと陰がある。この辺り、確実に成長の跡が窺えます。

6曲目の「Kick It」で再びスピード・ナンバー。完全に初期アークティック・モンキーズやね(笑)。でもこの手のスピード・ナンバーってなかなか出来ないもんです。単純にカッコイイ。そういう曲が一番難しい。彼らにはそれをサラッとやってのける地力があるってことです。

次の曲「Silver Lining」。これは完全にPhoenixです。Phoenixの新曲と言っても差し支えありません(笑)。もうね、なんなんでしょ、声そっくりです。メロディ・ラインも優雅でロマンティック。サウンドをちょこちょとっといじれば完全にPhoenixです。でもね、この曲がいいんですよ。ちゃんと憂いがあるっていうか、起承転結があってホントよくできた曲ですよ。このアルバムでは一番好きですね。

最後の曲は「Up All Night」。EDMみたいなタイトルですがこれも落ち着いた曲です。踊ってる側ではなくその余韻、若しくは外側にいる人間の歌。1stとは立ち位置が明らかに違うっていうのがこの曲ではっきりと分かりますね。

全8曲。久々の割に曲数は少ないですが、彼ららしさと新しい側面が混ぜ合わさっていいアルバムだと思います。確かにサウンド的にはまだまだ物足りないし、バンドとしての力量も抜群だとは言えないですが、そこは経験を積むなり何なりしてこれから幾らでも補えるところ。それよりも大事なのはソングライティング。やっぱこの人達は曲ですよ。圧倒的にクリアで分かり易いメロディ、それにあの甘い声。人がうらやむこの二つがある訳ですからこれからも安心なんじゃないでしょうか。

でまぁ久しぶりなんで来日すんのかな~って調べたら、既にこの9月に来日しとるやないかい!しまった、全然知らなんだ…。

 

Tracklist:
1. Wake Up
2. The Man Without Qualities
3. Wild Things
4. Need To Know
5. Why Why Not
6. Kick It
7. Silver Lining
8. Up All Night