Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not/Arctic Monkeys 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not』(2006) Arctic Monkeys
(ホワットエバー・ピープル・セイ・アイ・アム ザット・ホワット・アイム・ノット/アークティック・モンキーズ)

僕の印象ではもっとイケイケな感じかと思っていた。勿論、代表的な#1や#2なんてのは思いっ切りアガルんだけど、クークスやザ・ヴューの1stを聴いた後だとアークティックの1stはより落ち着いて聴こえる。前述の2組のバンドはどっちかっていうとガレージ色が強く、ガチャガチャしててギアが入ったら止まらなくなる感じ。それでいてUKロックの香りがフッとしてくる。一方のアークティックはヘビーでよりダーク、夜のイメージだ。同じシンプルなバンド構成だけど、こっちは得体の知れなさというか、無国籍な感じがする。アークティックはこの後、ずっとヘビーなサウンドを指向してゆくんだけど、こうして聴いてみると黒っぽい要素もあって最初からその萌芽があったんだなあ。

意味なんてどうでもいいよ、というクークスやザ・ヴューと比べてもちょっと奥歯にものが挟まった感じというかシニカルな感じはする。そういう意味でもアレックス・ターナーの立ち位置というのはやっぱ時代を映しているというか、00年代のバンドだなあと。今や世代を代表する巨大なバンドになった訳だけど、その辺が喧しい近所の腕の立つ職人といった風のクークスやザ・ヴューとは決定的に違うとこなのかもしれない。それになんかこう書いててもアークティックの方は真面目な文章になってしまうから不思議。

あとアークティックを記名づけているのがリリック。直近のアルバムも凄かったが、この1stは溢れんばかりの言葉数。アレックスはきっと詩人としてもやっていけそうだ。

キャリアを重ねたバンドが原点回帰ってのはよくあるが、結局初期衝動は1stだけのもの。ザ・ヴューにしてもザ・クークスにしてもアークティックにしても今もいい音楽を作っているが、スピード感で言えばやはり1枚目。アクセル踏んだら止まれないスピード感が欲しければ、この00年代UKギター・ロック御三家だ!

 

1. The View from the Afternoon
2. I Bet You Look Good on the Dancefloor
3. Fake Tales of San Francisco
4. Dancing Shoes
5. You Probably Couldn’t See for the Lights But You Were Staring Straight at Me
6. Still Take You Home
7. Riot Van
8. Red Light Indicates Doors are Secured
9. Mardy Bum
10. Perhaps Vampires is a Bit Strong But…
11. When the Sun Goes Down
12. From the Ritz to the Rubble
13. A Certain Romance

何と言っても冒頭2曲の破壊力。お尻に火が付いてるみたいだ。

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