「聲の形」(2016年)感想レビュー

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「聲の形」(2016年)感想レビュー
 
 
先日、テレビ放送されていたこの作品、タイトルを見て気になったので録画をして観ました。僕はアニメーションには詳しくないのですが驚きました。アニメーションってこんなに繊細な表現ができるんですね。すごく丁寧な作りだなという印象を受けました。
 
てここで良かった点。オープニング曲にThe Whoの「My Generation」が使われていた!!僕としてはこれだけで、はい、観ます観ます!って感じでしたね。ま、なんでこの曲なのかはよく分かりませんでしたけど(笑)。
 
観ていて先ず思ったのはすごく作り手が冷静だなと。表現をしたいことがすごく明確にあってそこがぶれていかないという。だから高校生たちの青春物語であり、聴覚障害者が登場するというところに目が奪われがちですけど、それは設定に過ぎないというか、目指したい場所に向かって丁寧に歩を進めていく、そんな感じがしました。
 
あと、やっぱり言い過ぎないというのが効いてますよね。中にはちょっと分かりにくいという人もいるかもしれないですけど、敢えて説明しないというのかな、かといって分かる人にだけ分かればいいというのでもなく、分からないところがあっても、そういう感覚と並走していける優しさもちゃんとあるんです。
 
ただ、なんでもそうですけど分からないって当たり前のことなんですね。なんでも分かりやすくっていう時代ですから、すぐになんでも分かろうとしますけど、実はそうじゃなくって、この映画も当たり前にそういうトーンですよね。最後も明確な答えは出てこないし。でも明らかに彼彼女たちは成長してますよね。だから最初にこの映画は繊細で丁寧でって言いましたけど多分そういうことなんだと思います。
 
あとこれは一番思ったことですけど、主要登場人物の誰にも肩入れできない仕組みになってるんですね。誰とも近寄れない距離感がある。多分映画を観た人の多くは好きな登場人物っていないんじゃないでしょうか。でもそれもやっぱり当然というか、人ってそんな簡単なものではないですよね。そういう揺らぎが登場人物にちゃんとあって、こちらとの距離感も揺らいでいく。この感じもなかなか新鮮でした。
 
個人的な話になりますが、僕には小学校からの友人が何人かいて今も年に2回ぐらいは会うんです。30年以上の付き合いですからまぁ仲はいいです。でもだからといって彼らとの間には永遠の友情があるだなんて思っていないんです。人と人との関係はそんな簡単なものじゃないんです。30年以上の付き合いがあろうが、明日からはそうじゃなくなるかもしれない。人と人というのはそういう部分をはらんでいるんですね。
 
だからあの登場人物たちもね、これからも色々あるんです。今は友達ですけど、離れ離れになって結局誰一人一緒にはいないかもしれない。でもそれは別に驚く事ではなく普通のことなんです。でもずっと誰とも分かり合えないの嫌じゃないですか。ほんのひと時でも良い関係を築きたいし、楽しい時間を過ごしたい。だから多分僕たちは他者とコミュニケーションを図ろうとするんですね。そしてそのほんのひと時の繋がりが命を救うことだってあるわけです。
 
今の世の中って繋がろう繋がろうって割と簡単に言います。それはそれで良いことかもしれませんが、そうではない、人と人とはそう簡単には繋がれないんだよ、でもだからといってそこで切ってしまわないで、丁寧に握手をしようとする。そういう誰もが経験する、そして今も誰もが現在進行形で真剣に行っているコミュニケーションについてを非常にリアルに切り取った映画だと思いました。
 
最後に。この映画はすごく良かったんですけど、ちょっと女性の脚を見せるようなカットが多かったんですね。それ必要かなって。こういう絵は要らないんじゃないかなとは思いました。

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