洋楽レビュー:
『Warm』(2018)Jeff Tweedy
(ウォーム/ジェフ・トゥイーディー)
そう言えばウィルコの『Schmilco』アルバムが2016年だから、そろそろウィルコの新しいアルバムが出るんじゃないかとネットでウィルコの新譜を探していたら、ウィルコじゃなくてジェフ・トゥイーディーの新作を発見しました。
なんでもウィルコは現在活動休止中だそうで、その理由はドラマーのグレン・コッチェの奥さんがフルブライト奨学金とかいう学者や研究者といった各種専門家を対象とした国際交流プログラムを受けることとなり、夫婦そろって暫く北欧に滞在することになったためということらしいが、このいかにもウィルコっぽい真っ当な理由の前では、よく分からないながらも納得してしまうしかないわけで。とは言いつつそれはそれでウィルコの新しい音楽は聴けないのかと、僕としてはちょっと困った気持ちになったりもしている。
その埋め合わせってわけでもないでしょうが、ジェフが初のソロでのオリジナル・アルバム『Warm』をリリースした。でもこのアルバムには件のグレン・コッチェが参加しているようなので、ウィルコが活動休止しているのにはもっと他の理由があるのかもしれないとそれはそれで心配になるが、とりあえず今はこのアルバムを聴いてぼんやりしておこう。ちなみに2017年にもソロで自作を含めたアコースティック・カバー・アルバム『Together At Last』ってのを出していたらしいけど、それも僕は全く知らなかった。どっちにしてもジェフのソロが初ってのは意外だな。
音楽の方はいつものウィルコ節がいつものジェフのぼそぼそっとした声で歌われている。サウンドはアコースティック・ギター主体の穏やかなサウンドに時折エレキ・ギターが印象的なフレーズを挟んでくる。曲によっては2本のエレキ・ギターの別のフレーズが両耳から流れてきて(イヤホンで聴くことが多いので)気持ちいいったらありゃしない。穏やかなメロディに穏やかなサウンド。耳障りはタイトルどおりの穏やかなアルバムだけど、ジェフのことだからやっぱ歌詞は穏やかじゃない。和訳がないから正確には分かってないけど。
こういう心地よい音楽はぼんやり聴くに限る。僕はウィルコの、ボーカルに全く寄り添おうとしないバンドの演奏が醸し出す微妙な違和感が好きなんだけど、勿論ジェフのいつものウィルコ節とぼそぼそっとした声が好きだから、今はこれで満足している。ていうか今回もあんまり寄り添ってないか。だから心地よいのだろう。ジェフさん、間を開けずにちゃんとアルバムを出してくれてありがとう。ウィルコのアルバムもそのうち出してね。
Tracklist:
1. Bombs Above
2. Some Birds
3. Don’t Forget
4. How Hard It Is for a Desert to Die
5. Let’s Go Rain
6. From Far Away
7. I Know What It’s Like
8. Having Been Is No Way to Be
9. The Red Brick
10. Warm (When the Sun Has Died)
11. How Will I Find You?