洋楽レビュー:
『Bright Future』(2024年)Adrianne Lenker
(ブライト・フューチャー/エイドリアン・レンカー)
エイドリアン・レンカーのソロ3作目。 バンドとしてのアルバムを出した後は割とこうしてソロ作を出して いる印象があるが、2022年にビッグ・ シーフとして2枚組の大作を発表した後にもまたこうしてソロ作を 作る、きっとそれがとてもよい循環なのだろう。
前回はアコースティックギターの弾き語りアルバムだったように記 憶しているが、今回はピアノが前面に出ているし、 バイオリンのような弦楽器もよく聞こえてきて、 ソロとはいえ割と賑やかなサウンド。こうなってくると、 ここにドラムとベースを加え、 バンド仕様にしてもらえないかとも思ってしまうが、 そうなってくるとソロ作をする意味が無くなってくるか。 ただ今回はそう思えるぐらい、躍動感もありメロディも映えているし、 これをやっぱり電気的に増幅した音で聴きたいと思うのは素直な気 持ち。
今年はカントリーがブームのようで、 ビヨンセもカントリーを再定義するようなアルバムを出したとのこ と。 このアルバムもジャケットがカウボーイハットをかぶったレンカー ということでまんまカントリーだが、 アルバムを通して聴いてもその印象はない。 単に僕がカントリーをよく知らないせいかもしれないけど、どっちかというと風通しのよいフォーク・アルバムだ。
どっちにしろ伸び伸びとしたメロディがレンカーの空気を震わせる ような声で歌われるのだからいいに決まっている。やっぱこれはガチャガチャ電気的にしない方がいいかな。