The Shadow I Remember / Cloud Nothings 感想レビュー

洋楽レビュー:
 
『The Shadow I Remember』(2021)Cloud Nothings
(ザ・シャドウ・アイ・リメンバー/クラウド・ナッシングス)
 
 
前作『The Black Hole Understands』(2020年)をYoutubeでタダで聴いたので、今回はちゃんとCDを買いました(笑)。日本盤にはボーナストラックが付いていて、#2『The Spirit Of』と#6『Open Rain』のデモトラックです。この2曲のデモはリモートで作られた前作とニュアンスが似ていて、ボーカルが大人しめ。前作を気に入っていた僕としては最初、本編よりも軽めのこっちの方が良かったりもしたんですけど、何回も聴いてるとやっぱ本編の荒々しい感じが好きになりました。そりゃ当然か。それにしても、、、日本盤をせっかく買ったのに対訳付いてないやんけ~。
 
キャリア20年の8枚目だそうです。名前は知ってたんですけど、ちゃんと聴いたのは前作が初めてでして、まぁビックリするぐらいキャッチーですね。基本荒々しいパンクなんですけど、曲がことのほかチャーミング。このギャップが彼らの魅力でしょうか。う~ん、クセになる。
 
僕は直近の2作しか聴いていないのでよく分かりませんが、多分今までもそうだったんでしょうね。だからその時々でサウンド的な変遷はあるのだろうけど、やっぱ売りはこの愛らしいメロディですよね。しかも今回は特に敢えて短い3分の中に長尺の曲のような変化をつけようと取り組んだみたいですから、尚更。ここがやっぱり彼らのストロング・ポイントなんだと思います。
 
それにしても、キャリア20年でこれだけ瑞々しいメロディを書け続けるのはちょっと異質な才能だ。ボーカルないとこのメロディも抜群で、しかも未だに早い曲ばっか。デビュー間もないみたいなナチュラルなざらつき。とうに初期衝動とは違うところで作曲をしているのだろうから、なにか秘訣があるのかもしれない。この技術、もっと注目されてもいいかも。
 
ソングライターのディラン・バルディなる人物、パッと見は垢ぬけない髯モジャ男だが、その中身は未だに瑞々しさを保ち続けているのか。やはり凄いギャップだ。

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