京都非公開文化財特別公開~得浄明院、長楽寺など~

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『京都非公開文化財特別公開~得浄明院、長楽寺など~』

 

春の「京都非公開文化財特別公開」が4月26日~5月6日、京都市と京都府宇治市の寺社20ヶ所で実施されました。このうち、「お戒檀巡り」の得浄明院と、改元時にしか公開されない秘仏の本尊「准胝観音(じゅんていかんのん)像」がある長楽寺へ行きました。どちらも円山公園界隈ということで、その辺りには他にもお寺が沢山ありますから、時間を見ながら他にも足を伸ばせるようなプランで出掛けました。

先ず向かったのは得浄明院。ここではこの時期限定で「お戒檀巡り」が出来ます。「お戒檀巡り」というのは、真っ暗闇の本堂地下を右手で壁を伝いながら歩き、途中にある錠前に手を触れることが出来れば、本尊と縁を結び、功徳を授かるというもの。

これ、ちょっとしたアトラクションのようで楽しいです。基本的に人間というのは反時計回りに回るように出来ておりまして、運動会や陸上競技場を思い浮かべてもらうと分かり易いと思いますが、要するに心臓を守るように、左胸が内側に来るようにぐるりと回るのが自然なんです。ところがこの「お戒檀巡り」は時計回り、右回りに進むのです。

恐らくこの時計回りというのが肝で、これが不安感を煽るわけです。しかも真っ暗闇、本当に真っ暗ですから、私は友人と計4名で行ったのですが、皆で静かにワイワイ言いながらでなかなかの盛り上がり。ちなみに私は錠前に触れなくてもう一周しました(笑)。

ここは「一初(←アヤメのことです)」も沢山見られるはずでしたが、私が行ったこの日は残念ながら満開とはいきませんでした。

ところで得浄明院に着いたのは朝10時ぐらいでしたが、何故かあまり人はいませんでした。沢山の人で「お戒檀巡り」は出来ないんじゃないかと少し心配していたので、ちょっと肩透かし。てことで行くなら朝が狙い目ですね。

得浄明院を南下し次に向かうは長楽寺。得浄明院周辺はいかにも京都な住宅地でほとんど人もいませんでしたが、そこから長楽寺へは円山公園を抜けていく道ですから、歩いているだけでも観光気分がグッと増します。長楽寺は途中、東へ折れ、石の階段を登った先にあります。おっと、結構行列。10分ほど並んだでしょうか。漸く本堂へ入れました。

そんなに大きくない本堂の中に入ると沢山の人だかり。ここの「准胝観音像」は今回の20ヶ所ある特別公開の中でも目玉のひとつですからね。なんせ30年ぶりのご開帳ですよ!

そういや最初に訪れた得浄明院もそうでしたが、学芸員らしき若い女性が文化財の説明をしてくれるんですね。これはなかなか良いサービス。勿論ある程度は調べて行ったのですが、こうやってその場で説明をしてくれると尚更理解が深まります。

そして遂に「准胝観音像」の正面へ。うわ~、やっぱ素晴らしい~。気品がありますねぇ~。失礼ながらお顔の大きさ、胴体のバランス、何本もある腕の太さ、これらがちょうどいいんです。太からず、細からず、中庸の美とでも言いますか、これは見事なプロポーション、いつまでも見ていられます。

ところでこちらの「准胝観音像」。天井からぶら下がった紐みたいなのが「准胝観音像」の頭上辺りに繋がってるんです。何故だろうこれはと私なりに考えたところによると、はは~ん、これは准胝観音様がもう疲れた、ちょっと休憩って時にクイッと引っ張ってバタンッ!と閉めるわけやな。てことで皆さん見に行くのなら午前中に(←あくまでも私の妄想です)。

ここの本堂には「布袋尊像」もおわします。なんでも鎌倉初期に三国の土(インド、中国、日本だそうです)をもって造られたらしく、日本全土に祀られている布袋の模範像とのこと。またこの像は泥像(土をこねたままで焼いていない)であって、今日まで保存されているというなんとも珍しい布袋様でございます。

春の京都非公開文化財特別公開、私たちが行ったのは得浄明院と長楽寺の二寺のみ。ま、あちこちに散らばっていますからね。てことで次に向かったのは六道珍皇寺。特別公開とは関係なく単に行きたかったのです。目当てはアレですアレ、小野篁(おののたかむら)が地獄へ行ったり来たりしたという井戸、冥界の出入口です。

とその前に、折角なので途中にある建仁寺にも入りました。流石に広いです、綺麗です。心なしか寂れた長楽寺との落差がスゴイです。大身代!って感じです。しかしここは涼しいですね。風がよく通ります。そのへんも考えて建てられているのでしょうか。

法堂の天井には平成14年(2002)に建仁寺創建800年を記念して、日本画家の小泉淳作画伯が約2年の歳月をかけて取り組んだという壮大な「双龍図」があります。これはなかなかの迫力ですね。天井が高いですから、正に龍に天空から見下ろされているような気分と言いますか、この絵もこの先何百年と引き継がれていくのでしょう。

そして六道珍皇寺。建仁寺の境内に案内図が立ってましたから、そのまま難なく進めます。六道珍皇寺の六道とは、仏教の教義でいう地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道(人間)・天道の六種の冥界ですね。この六道の分岐点がこの六道珍皇寺。いわゆるこの世とあの世の境の辻、六道の辻、冥界への出入口がここの境内にあるという訳です。

ま、言い伝えですけど、やっぱこういうのを見る時はこっちもその気にならないとね。ほうほう、これが冥界への出入口かぁと、気分を盛り上げて向かうべし!私たちはちょっと外で待ってるわとここの境内には入って来なかった友人の名前を呼んだりして遊んでしまいました。しかしそれにしても深い!何処まで続いてるのやら。呼びかけて返事がした日にゃ、恐ろしや~。

私が行ったのは改元10連休の後半、気温がグイグイ上がった時期でしたが、それでもまだ5月、お寺巡りには持ってこいの陽気でした。

私は割と一人でもフラフラ~っとお寺巡りをするのですが、こうやって気心知れた仲間とあーだこーだ言いながら散策するのもいいですね。仏像が好きなもんで一人で出掛けるときは仏像ばっか見て回ってしまいますが、お寺には他にも色々とあるわけですから、皆と行くとそーゆーのも見れて良かったです。私の趣味に付き合ってくれた皆さん、どーもです!

あとお昼時にカレーが食べたいなんて言って、グーグルに呼びかけたらいくつか候補が出てきて、そのまま近くの美味しそうな店に入ったりなんかして、なんかCMみたいだなと、改めてスマホはスゲーと思った次第。

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