洋楽レビュー:
『1 Hopeful RD.』(2015)Vintage Trouble
(華麗なるトラブル/ヴィンテージ・トラブル)
いや~、ジェダイやね。ボーカルのタイ・テイラーさん、フォース出まくり。なんか名前からしてそんな感じやん。ルーク・スカイウォーカー、オビワン・ケノービ、タイ・テイラー、ほら、違和感ないでしょ。マントとか似合いそーやし。すんませんっ、昨日テレビで『スター・ウォーズ フォースの覚醒』見たもんで。
米国人にとって、R&Bとかブルースなんていうのは演歌みたいなもんだというのを誰かが言ってた。いいとか悪いとかではなく単に琴線に触れてしまうんだと。ヴィンテージ・トラブルはロック・バンドだけど、どっちかって言うとそっち系なんじゃないだろうか。ということを踏まえれば、ジャズとかR&B専門のブルーノート・レコードからリリースされた初のロック・バンドというのも別に不思議じゃない。
はっきり言って何ら新しいとこはない。前作の1stと比べてもバンドとしての塊がドッと来る感じやグルーヴ感は更に引き締まった気はするけど、相変わらず景気のいい曲があって、渋いスロー・ソングがあってっていうスタイルは変わりようがない。ただそうは言っても、こういうのは聴き手の耳も肥えてるわけだから、生半可なレベルじゃ満足してもらえないわけでそれ相当の練度が求められてくる。そこをじゃあそれ以上のものをって見せてくれるから嬉しくなってしまうわけで、脳というより体に訴えてくるんだろうな。みんなよく知ってるんだろうけど、じゃあすぐに出来るかっていうとなかなかそうはいかない奥の深さ。そこがほら『スター・ウォーズ』、やっぱフォースなんすよ(強引やな)。
だってまあ凄いんすもん、タイ・テイラーさんのシャウト。#8『ストライク・ユア・ライト』なんかたまらんえ。スロー・ソングも抜群だし、こんだけ幅広く歌えるボーカリストはそうはいない。でもってのっけからライト・セーバー振り回してブワォンブワォン言っちゃってるし、あ、スライド・ギターね。ドラム、ベース、ギター、ボーカルっていうシンプルな編成でこの腹から来るグルーヴ。皆さん、ストーンズばっか崇めてないでこっちを聴きなさい!あかん、オレのダーク・サイド出てもうた…。
前作は3日で録音したそうで、今回も1週間かそこらでの録音だそうだ。もともとライブでやってきた曲ばかりだからそりゃそんなもんかもしれないけど、やっぱそこはこのバンドの地力だろう。ライブがあって、新しい曲が溜まってきたら録音する。そんな昔ながらのスタイルがいかにも様になる。目新しいところは何もないが、このどうということのないソウル・ロックを10年代に何の違和感もなく馴染ませちゃった点にこのバンドの偉大さがある。僕も当然大好きだ。
ルックスもヴィンテージ感たっぷりの手練れ4人衆(アルバム・ジャケット、めっちゃ渋いッス!)。音楽界にもジェダイはいるのです。さあ皆さん、フォースの音楽面へようこそ。「May the Force be with you(フォースと共にあれ)…」 ←これが言いたかってん…。
1. Run Like the River
2. From My Arms
3. Doin’ What You Were Doin’
4. Angel City, California
5. Shows What You Know
6. My Heart Won’t Fall Again
7. Another Man’s Words
8. Strike Your Light (featuring Kamilah Marshall)
9. Before the Tear Drops
10.If You Loved Me
11.Another Baby
12.Soul Serenity
(日本盤ボーナス・トラック)
13.Get It
14.Honey Dew
日本盤にはDVDが付属。2014年のサマーソニックです!
こん時ゃ凄かった~。僕も大阪で観ましたよ!