Kid A/Radiohead 感想レビュー

洋楽レビュー:
 
『Kid A』(2000) Radiohead
(キッドA/レディオヘッド)
 
インターネットが高度に発達した現代ではコミュニケーションのあり方も以前の物差しでは測れない。とすれば4ピースのロックンロールが肉体を激しくビートした時代とは異なる方法論でないとやりきれないというのは、至極真っ当なことではないか。今必要なのはそれでもいいさと8ビートに腰をくねらせる楽天性か。それともワインと睡眠薬による終焉か。レディオヘッドが選んだのはそのどちらでもなく、音楽と人の心の奥を直に繋げる試み。周りに馬鹿だと言われようが、新しいあり方を切り開かんとす生真面目な取り組みに他ならない。
 

それが成功したのかどうかは分からない。ただ、ここにあるロックンロール音楽は、未だかつて誰にも触れられたことの無い体の一部分をタッチする。いやこれが音楽であるかさえ僕には分からない。それどころか、僕には世界中の多くの人がこのような音楽を支持しているというのが信じられない。しかし信じられないけれど、その事実はとても楽しいことだ。それはつまりは我々の体の中にはまだそのような回路が存在するということなのだから。

彼らの音楽は我々の中に眠る新たな回路を起動させた。と同時にロック音楽の可動域を広げた。

 
☆1. エヴリシング・イン・イッツ・ライト・プレイス
 2. キッド A
 3. ザ・ナショナル・アンセム
 4. ハウ・トゥ・ディサピア・コンプリートリー
 5. トゥリーフィンガーズ
☆6. オプティミスティック
 7. イン・リンボー
★8. イディオテック
 9. モーニング・ベル
 10. モーション・ピクチャー・サウンドトラック

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